子供のころは親戚に結婚式などがあると父の在所の群馬へ泊りがけで家族旅行をしました。群馬の親戚には私と同い年の、かずくんという子がいました。かずくんには、たかちゃんという弟がいました。私たちは気が合って、すぐに仲良しになりました。群馬へ行くことが決まるとお互いに会えるのを心待ちにしました。大人のスケジュールの隙間にしか遊べない間柄だから、一緒にいた時間は少ないけれど、それだけにとても待ち遠しく、また別れ惜しい相手でした。

 かずくんとは、伯母さんの家の広い庭で、冬の頬を切るような冷たい空気の中、畑の野菜を縫って駆けまわり、霜柱をざくざく踏んで鬼ごっこをしました。ホテルに泊まったときはかずくんの持ってきたテレビゲームを部屋のブラウン管につないで遊びました。
 たかちゃんは笑顔の可愛い少年で、お兄ちゃんとの力関係でよく泣くこともあったけれど、いつもかずくんといっしょに私をあたたかく迎えてくれました。私のために絵を描いて小包で送ってくれたこともありました。たかちゃんの好きなガンダムが色鉛筆で描いてあり、「□□ちゃんへ」と私の名を書き入れて、額装までしてありました。その色鉛筆のやさしい色彩は、いかにも優しいたかちゃんらしさが表れていました。

 数えるほどしか会う機会のないまま、お互いに成長して親の手を離れると、自然に交流も途絶えました。大人になってからは家庭の事情で群馬の人たちとも縁が切れてしまったので、今は彼らがどうしているのか知る術もありません。
 あんなに会うのが待ち遠しかったお友達は他にいません。